2014.05.17 東京都福生市にて、「科学教室」開催

2014/5/17(土)、東京福生市にある、NPO法人青少年自立援助センター定住外国人子弟支援事業部が運営する「子ども日本語教室」にて、外国にルーツを持つ小学生~中学生に向けて科学教室を開催しました。

Science Technology for All(STA)は、東日本大震災以降、東北の子ども達を支援するために設立された任意団体ですが、今回縁あって、日本語を母国語としない子どもたちの抱える問題などを知ることになり、私たちに出来ることがあればとの思いで科学教室を開催させていただきました。

 外国にルーツを持つ子どもや若者の多くは、学校になじめなかったり、日本語の壁のために本来の学ぶ力が十分に発揮できなかったり、進学や就労に困難を抱えています。教室では設備や講師の観点からも「実験」はハードルが高く、科学の楽しさを実感できる今回の「科学教室」の開催に大きな期待を寄せてくれました。

超高齢化社会に突入した日本で、外国からの移民の受け入れは今後さらに必要性が増してきます。定住外国人の子ども達がストレスなく学べる環境づくりはとても大事なことのように感じます。この子たちは、日本と母国をつなぐ大事な架け橋にもなり得る存在です。小さな団体の小さな科学教室ですが、楽しかった思い出を持って帰って貰えたら嬉しく思います。

ものごとは小さな事をきっかけに、大きく動いていくものなのかもしれませんね。

 初めに、簡単なアイスブレークを兼ねて自己紹介をし、講師紹介から本日の科学教室の実験の概要の説明をし、実際に実験をしてもらう。という流れで進めていきました。日本語を母国語として持たない子どもたちとの科学実験は初めてでしたが、体験を伴う学びは、そういう壁も一気に飛び越えていきます。

講師の自己紹介を食い入るように見つめたり、写真で突っ込みを入れたり、子どもらしい姿も垣間見れます。

 

印象的だったのは、「大自然は見るものによって姿を変えることはない」というメッセージでした。とても大きく美しい滝の写真でした。見る人を選んで水量を加減することはなく、誰がみても美しく雄大な姿であること。

このメッセージは、定住外国人の子ども達にどんな風に映ったでしょうか。爽やかな風のように、さりげなく、余韻を残して捉えてくれたら嬉しいです。

今回の実験は、数種類の金属片と液体を用いて、各々自由に材料を選び、電気を作り出すものです。乾電池の中身の仕組みを作り出すものです。

各々の組み合わせで発生する電気の電圧を測定しながら、HappyBirthDayの音楽が流れるICチップが鳴るのを目指しての悪戦苦闘です。

材料は(金属片:アルミニウム、銅、真ちゅう、ステンレス、トタン 液体:醤油、酢、赤ワイン、白ワイン、塩水、スポーツドリンク)を使用し、液体をビーカーに注ぎ、金属片2枚を接触しないように導線で繋ぎます。液体や金属の組み合わせで+と-が異なったり、想像力を働かせながらの実験になりました。一つの装置では鳴らなかったICメロディーも、隣の友達と直列でつなぐことで音楽を奏でたり、協力することも学んでいきます。

上手くならせた子は、さらに電力が必要なLEDの点灯にも挑戦します。

 

中学生たちは、ビーカーの発電装置をいくつもつなげて、ICメロディー+LEDにも挑戦したり、ICメロディーの連結のタイミングを見計らって、連奏を見事成功させていました。

面白いことに、電圧が小さいとメロディーの音が小さくなるだけではなく、音痴になったりするんですね。

 

悔しさも、難しさも、学びも、楽しさも、いろんなものが詰まった科学教室になりました。所々で講師やスタッフが出す「ヒント」も効果的に働き、最後まで興味を持ってもらえたのではないかと思います。

科学教室開催後に、双方のスタッフ間で振り返りの時間を設けました。

ハンドアウト(資料)へのアドバイス、進め方のアドバイスなどをいただき、東北での今後の企画にも生かせる材料がたくさん見つかりました。

また、STAからも、授業の開催などのアドバイスや、フォローアップのアドバイス等も出来たのではないかと思います。

今回の反省点を踏まえた、次回開催も予定されています。

 

今後、このご縁をつなげたり、広げたり、東北や定住外国人の子ども達同士をつなぐことが出来たら、新しい化学反応も生まれるかもしれないですね。

下記に当日参加したSTAスタッフの感想を記載します。

生徒さんたちがどの位興味を持ってくれるかドキドキしましたが、2時間近く飽きずに楽しんでいただけたようでよかったです。

原理的な説明は十分にできませんでしたが、導線のつなぎ方など自由な発想で工夫してくれました。

「自然や科学の美しさは誰にでも平等」というメッセージが少しでも伝わっていたら嬉しいです。(Eさん)

普段普通に生活していると全く見えてこない、各地域で起こっている問題を目の当たりにした。

日本に移民してくる人達が多く在住している福生。様々な要因で、日本語に不自由を抱えている子ども達。

この国でこの先、生きていかなければならない彼等にとって、学業は切っても切り離せない環境にある。

何だかんだ学力社会な現実で、働く場の環境作りも課題の一つであろう。決して子ども達には責任はないはずだ。

「ボランティア」と一言で言っても色々な形での支援の仕方がある。

今後はその在り方について、自分なりに出来ることを考えていきたいと強く感じた。(Hさん)

今回初めて参加させていただきました。

最初、子どもたちは何をしたらよいのか不安そうでしたが、作業が始まるとみんな明るくて好奇心旺盛で、全員がすぐに打ち解けられました。

普段外国の子供たちと交流できる機会はあまりないので貴重な体験だったと思います。

実際私がしたことは、小さなことかもしれませんし、自分自身、彼らのために何が出来るのかまだ明確にはわかりませんが、

少しずつ見つけていきたいと思います。

今後、彼らが少しでも多くのことに興味を持ってもらえたら嬉しいです。(Oさん)